広尾プライム皮膚科
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初期のたるみ、その正体とは?専門医が教えるメカニズムと賢い対策

鏡を見るたびに「フェイスラインがぼやけてきた」「昔より疲れた印象に見える…」そんな小さな違和感を抱えていませんか?
実はその変化、加齢だけでは説明できません。肌の土台であるコラーゲンやエラスチンのゆるみ、表情筋の衰え、皮下脂肪やむくみの移動。こうした複数の要因が同時に進むことで、たるみの兆しを感じやすくなることがあります。
毎日スキンケアをしているのに改善しないのは、原因が「肌表面だけの問題」ではないからです。

本記事では、専門医の視点から、たるみの正体と仕組みを分かりやすく解説し、あなたが今日から見直すべきポイントをお伝えします。

監修医師:谷 祐子先生(広尾プライム皮膚科 院長 形成外科専門医)

肌の土台が緩む!コラーゲン&エラスチンの減少・変性

肌のハリと弾力を維持する、最も重要な「土台」を形成しているのが、コラーゲンエラスチンです。

コラーゲンが肌の構造を支える柱だとすれば、エラスチンはその柱を束ねる伸縮性のあるバネでできたバンドのような役割を担っています。

構造が崩れる原因

1.生成能力の自然な低下:

コラーゲンは20代後半から生成能力が緩やかに低下し始めます。30代になると、その「貯蓄」が目に見えて減少し、肌のハリが失われ始めます。

2.紫外線(光老化)と酸化ストレス:

たるみの最大の敵は、紫外線です。紫外線ダメージは、真皮に存在する線維芽細胞(コラーゲンやエラスチンを作る細胞)を傷つけ、既存のコラーゲン・エラスチンを劣化・変性させます。

3.糖化(AGEs):

体内の余分な糖がタンパク質と結びつく「糖化」が起こると、コラーゲンなどが硬く変性し(AGEs:終末糖化産物)、柔軟性や弾力が失われます。

これらの要因が複雑に絡み合い肌内部の構造が変化し、重力に逆らえずに肌が下垂します。これが、「毛穴が縦に伸びて見える(たるみ毛穴)」や「肌全体がたるんで見える」といった初期のたるみサインの主な原因の一つです。

たるみのメカニズムについてこちらで詳しく解説しています。

 

顔の印象を左右する「表情筋」の衰え

顔の輪郭や表情を形成し、皮膚を上方に支えているのが、約30種類からなる表情筋です。コラーゲンが表面的なハリであれば、表情筋は顔の輪郭を保つインナーマッスルのようなものです。表情筋は加齢でも衰えますが、生活習慣も大きくかかわっています。

表情筋が衰えるメカニズム

  • 無表情な生活習慣:
    デスクワークでの集中やストレス、感情表現の乏しい生活などが続くと、特定の筋肉しか使われず、表情筋全体が徐々に衰え硬直していきます。
  • 偏った表情の癖:
    片側の眉を上げたり、口角を片側だけ上げたりする癖は、顔の筋肉バランスを崩し、左右非対称のたるみを引き起こす原因となります。
  • 「スマホ首」による連動性の低下:
    スマートフォンを下向きで長時間見続ける習慣は、首や顎の筋肉(広頸筋など)を緩ませ、フェイスラインを支える筋肉との連動性を低下させます。

特に、口角や目元、フェイスラインを支える筋肉が弱ると、皮膚を上方に引き上げる力が失われ、ほうれい線やマリオネットラインが目立ってくるようになります。

皮下脂肪とむくみが見た目のたるみを加速させる

肌のハリや表情筋の他にも、見た目のたるみに大きく影響するのが、その下にある「皮下脂肪」と「むくみ」です。

  • 皮下脂肪の変化と移動:
    • 皮下脂肪は、加齢に伴い、コラーゲンやエラスチンの衰えによって適切な位置に留まれなくなり、重力に負けて下方に移動します。
    • 特に頬から口元にかけて脂肪が下垂することで「ブルドッグ顔」のようなたるみが形成されます。また、脂肪の量が減ると、逆に頬がこけて見え、老けた印象を与えることもあります。
  • 慢性的なむくみ:
    • 塩分過多や血行不良、リンパの流れの滞りなどによって、余分な水分や老廃物が顔に滞留し、慢性的なむくみを引き起こします。
    • 水分によって肌が重力で引っ張られやすくなり、フェイスラインがぼやけたり、二重顎のように見えたりと、たるみを視覚的に加速させる悪循環を生み出します。

気づかないうちに…日常に潜む「たるみ加速」習慣

たるみのメカニズムは複雑ですが、実は私たちの毎日の何気ない習慣が、その進行を加速させていることが少なくありません。

  • 長時間スマホを見る際の「下向き姿勢」:
    「スマホ首」は、首のシワやフェイスラインのたるみを引き起こす主要な原因の一つです。
  • 紫外線対策を怠る:
    前述の通り、紫外線はコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の老化を早める最大の敵です。
  • 睡眠不足や栄養バランスの偏った食事:
    肌の修復に必要な成長ホルモンの分泌を妨げ、コラーゲン生成に必要なタンパク質やビタミンの不足を引き起こします。
  • 間違ったスキンケア(摩擦):
    洗顔やクレンジングの際に顔をゴシゴシ擦る、タオルで強く拭くなど、肌に強い摩擦を与える行為は、皮膚組織に負担をかけ、コラーゲン繊維を傷つける可能性があります。

これらの習慣を見直すことが、高価な化粧品を使うよりも効果的な、たるみケアの「土台作り」となります。

まとめ

今日ご紹介した「初期のたるみ」の正体、いかがでしたでしょうか?

たるみの原因は一つではなく、「肌の土台(コラーゲン・エラスチン)の変化」「顔の土台(表情筋)の衰え」、そして「皮下脂肪やむくみ」が複雑に絡み合っていることがお分かりいただけたかと思います。

そして何より、日々の無意識の習慣が、たるみを加速させているという事実。

不安に感じるかもしれませんが、ご安心ください。たるみのメカニズムを理解することは、効果的なセルフケアへの確かな一歩です。

今日からできる小さな習慣の見直しやケアを続けることで、鏡に映る自分の印象が少しずつ変わり、前向きな気持ちにつながるでしょう。

もし、ご自身のケアだけでは改善がみられない、正しくケアできているか不安だという場合は、医師にご相談ください。

 

たるみのメカニズムに関するよくある質問

Q1. たるみは30代からしか始まらないのでしょうか? 

A. いいえ、たるみの原因であるコラーゲンやエラスチンの減少は20代から緩やかに始まると言われています。しかし、30代になるとその変化が肌表面に現れやすくなるため、「初期たるみ」として自覚する方が増える傾向にあります。

Q2. 毛穴の開きとたるみは関係があるのですか?

A. はい、深く関係しています。 たるみによって肌のハリが失われると、毛穴周りの皮膚が重力で下に引っ張られ、毛穴が縦長に伸びて見えるようになります。これを「たるみ毛穴」と呼び、たるみの初期サインの一つです。

Q3. たるみやすいかどうかは遺伝で決まるのでしょうか?

A. 遺伝的要因より、後天的な要因が影響します。 遺伝的要因も全くないわけではありませんが、紫外線対策・生活習慣・スキンケアなどの後天的な要因がたるみに与える影響の方が大きいと考えられています。遺伝だからと諦めず、今からできる対策を始めることが最も重要です。

Q4. 一度始まったたるみはもう止められないのでしょうか?

A. いいえ、決してそんなことはありません。 特に初期のたるみであれば、メカニズムに基づいた適切なセルフケアと生活習慣の改善で進行を遅らせたり、改善したりすることが十分に可能です。諦めずに今日からケアを始めましょう。

Q5. 高価な化粧品を使わないとたるみは改善しないのでしょうか?

A. 必ずしもそうではありません。 高価な化粧品も有効な場合がありますが、たるみのメカニズムを理解し、日々の生活習慣の見直しや正しいマッサージ、効果的な成分(レチノール、ビタミンC誘導体など)を取り入れたケアを継続することが重要です。